ガテン野郎の恋デイリー・イン・ザ・mirror
毎日更新のガタイ系野郎のゲイ小説っす。
曽根正人の儀59
「きっと全部、俺の独り善がりのわがままで勝手な思い込みなのかもな…きっと…でなければ、彼女の事が気になるのに、両親の事も心配なのに、意志と反対に俺はこうやって逃げ出してしまったんだからな」
自虐的な調子で言う。
「軽蔑しただろう。帰りたくなったんじゃないか」
チラッと俺の方を向く先輩はまるで生気が無くなっている。
「…先輩はなぜDVDに出ようとしたんすか?」
「金のために決っている。毎月両親と彼女に幾漠か送金している。少しでも多く渡そうと。それに俺自身にも会社の為に借りた金もある。だから告白しちまうと、ウリもやっている。ははっ…こんなおじさんでもおかげさんで時々声が掛かる。その為にシャワー付いている部屋にした」
自嘲気味に笑う。
「ウリ専にまで…」
職業に貴賤はないが、そうしなければならないと思い詰めさせたのは結局俺だ…
見つかったあの時、俺らの方が逃げればよかったんだ。なぜ逃げなかったんだろう…先輩が好きだったからか…結局俺の欲望のために…
いくら先輩の本質だったとしても、道は変わっていたかもしれない。
「先輩…すいませんっ!!」
ベッドから起き上がり下りると先輩の前で土下座した。
「俺があの時あんなことしなければっ…!」
「いいんだ…正人は悪くない。遅かれ早かれ一緒だったと思う。ただ彼女に悪いと思うだけだ」
先輩はしゃがみ込み、俺の両方の耳辺りに手をはさみ顔を上げさせた。
「初体験が正人たちでよかった」
「先輩…?」
「都会なら他に幾つもあるのに、なぜ東京に来たかわかるか?」
「えっ?あっ…!」
「逢えないにしても近くにいたかった。本当に好きな奴、愛する事ができる奴の…」
「先輩…!!!」
口が塞がる。

「ありがとうな…本当に…正人…」
唇が離れた口から漏れた。
「先輩…?!」
「逢えてよかったよ…正人の気持ちもきちんと聞けて俺も言えて…東京に出てきた甲斐があった…」
「先輩!」
俺は立ち上がった。
「うっ…?!」
「また逃げようとするんですか?!」
「えっ?!」
「俺から…いや…先輩、自分自身から!」
「正人…」
「もう逃げないで下さい…お願いですから…」
「しかし…」
「幸せと思わなくてもいいですから俺と一緒にいて下さい!」
言っている事が目茶苦茶だ。
「俺にも一緒にその先輩の重荷を背負わせて下さい!お願いします!…俺も愛しているんです…先輩…大河原剛志の事を…」
「正人…」
先輩はギュッと抱き締めてくれた。
俺はいつまでも抱いていて欲しいと思った。

ケータイサイト
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